たたら製鉄由来の地から進化系スキレットが誕生

数ある鉄板料理の中で近年注目を集めてきたのが、鋳鉄製のスキレット。アウトドアブームから火が付き、調理のしやすさと見映えの良い料理が作れる点から人気が加速。そんなスキレットを陶芸でアレンジして作っている工房が安芸太田町にあると聞き、どのようなものなのかを知るべく窯元を訪ねてみた。

厳選した土と釉薬、川砂が作る歴史が詰まった陶製スキレット

国道191号線沿い、太田川のほとりに建つ『風炎窯』。この道40年以上の陶芸家 林俊一さんが1990年から営む工房だ。岡山、沖縄で技術を学び、温かみあふれる作品の数々で多くの人を魅了してきた。スキレットとの出合いはテレビ番組。暮らしの中で手軽に使える道具が作れないかと考えていたところ、スキレットの存在をテレビで知り陶芸でチャレンジしてみようと思い立った。

工房のある加計は、江戸時代に栄えた西中国山地一帯のたたら製鉄の中心地。そんな土地の歴史も作品に込められたらと考え、既存のスキレットや古い羽釜を参考に試行錯誤を重ねた。ジンバブエ産のペタライトを多く含む粘土を使うことで、600度でも割れない耐熱性能を実現。また、沖縄での修業時代に現地で見つけた鉱物が遠赤外線高放射材と解り、それをベースにしたオリジナルの黒い釉薬を開発。軽くて、熱伝導が穏やか、メンテナンスが楽な焦げつきにくい素材が完成した。一番のポイントは、鍋底に月ヶ瀬の川砂を敷き詰めたこと。月ヶ瀬は製鉄が盛んだった時代に積出港があった場所。

歴史を伝えたいという思いが叶えられたのと同時に、砂地のでこぼこが余分な脂を落としてパリッと焼き上げられるという、技術的にも優れた効果をあげることに成功した。

手作り感いっぱいの工房兼ギャラリーには食器や花瓶、置物など数多くの陶芸品が並ぶ。オープンは不定なので訪れる際は電話で確認を。

外壁に掲げている「掌」の看板が目印

素材本来のうま味を引き出してくれる穏やかな熱伝導と高い蓄熱保温性

使い方は至って簡単で、直火のほかオーブンや電子レンジで加熱が可能。錆びる心配がないので、水洗い後は自然乾燥に任せられるのも便利と好評を博している。

最も適しているのは焼き物や蒸し物。特におすすめしたいのがチキンのグリルで、薄く油をひいた鍋底に密着するように鶏肉を置き、弱火で調理する。上からアルミホイルをかぶせてレンガなどの重しを置くと余分な脂が落ちるのだそう。表面がザラつきのある砂地なので香ばしく焼き上がり、途中から蓋をして蒸すと驚くほどふっくらと仕上がる。「誰にでもできますよ」と話す林さんの言葉通り、器自体に調理の目安が現れるという。

例えば蒸し焼きにするのなら、鍋と蓋の境目に水分が溜まると低温域で蒸され始め、泡が生じると沸騰域に達した目安になる。試しにお好み焼とソーセージの蒸し焼きを作ってもらったが、調理時間が思いのほか短い。「熱伝導は穏やかですが蓄熱保温性が高く余熱で調理できます。料理によっては弱火ですべてまかなえますよ」。

つなぎを使わないお好み焼はキャベツの甘みがあふれジューシーな味わいに、プリッとしたソーセージは噛むとパキッと小気味良い音が響き肉汁あふれる感動の食感に出来上がった。

MOONスキレットは小(ふた付き4,320円)、中(4,320円)、大(10,800円) の3種類。中と大は別売りのふたをセットにもできる。ギャラリーもしくはHP(http://www.fuuen.com/)内のネットショップから購入可

使い方が分かる調理体験が人気 広島の歴史への思いをのせてユーザーへ

「直接購入してもらってもいいですが、体験プログラムに参加するとよりいいかと思います」。風炎窯では陶芸体験のほか、調理体験や、工房イベントを随時開催。「実際の火加減や、素材から引き出される味を感じながら、メンテナンスについてもお話ができるので喜ばれています」。カップルや親子での参加、近頃は外国人観光客の需要も多いという。

体験と併せて、林さんの生まれ故郷である加計の町について話したり、川沿いの道や近隣の神社を一緒に散策したり。ゆったりと流れる時間は、この上なく豊かで贅沢なひと時だ。「昔ながらの製法でひとつずつ作るので量産には不向きです。けれど、その手作業から生まれる独特の風合いを楽しんでもらえたら」。鍋底に敷いた月ヶ瀬の川砂にちなみ商品名は『MOONスキレット』と名付けられ、個人の愛用者や温井スプリングスのレストランでも使用されている。

通常のスキレットより短くて厚い取っ手は強度的な工夫であり、軽くて使いやすく柔らかな表情が魅力。使い始めのグレーがかった色合いが次第に艶のある黒色に変化し使い込むほど手に馴染む。「安心安全で愛着を持って使ってもらえる道具であることに加えて、広島のものづくりの歴史を伝える役割も担えたらうれしいですね」。

林 俊一さん/山県郡安芸太田町加計生まれ。岡山県『倉敷みなと窯』、沖縄県『壷屋陶眞窯』『琉球多幸山窯』で修業を積み1990年『風炎窯』を開窯。ここ最近は、公募展や展示会を控え、エコツーリズム的な体験活動が主体

問い合せ先/広島県山県郡安芸太田町加計337-1 TEL/0826-22-2273


レシピ1 新感覚お好み焼


【材料】・豚三枚肉…150g  ・蒸し麺…1袋  ・イカ天…1枚  ・キャベツ…1/4玉  ・魚粉…適量

・モヤシ…1/3袋  ・卵…2個  ・白ゴマ…適量  ・きざみ海苔…適量

・鰹節…小袋1パック  ・お好みソース…適量  ・マヨネーズ…適量  ・オリーブオイル…少々

【作り方】①スキレット(大)に少量のオリーブオイルを入れて熱し、細かく切った豚三枚肉を弱火でを軽く炒め、取り出しておく。
②豚肉から出た脂で蒸し麺をパリパリに炒め、取り出しておく。
③火を止めた状態でザク切りにしたキャベツ、魚粉、小割したイカ天、豚肉、麺、モヤシの順にのせる。
④ふたをして弱火で軽く蒸したのち、上から溶き卵を均等に流しかけ、再びふたをして弱火で3分程度蒸し焼きにする。
⑤白ゴマ、鰹節、お好みソース、マヨネーズ、青ネギ、きざみのりをかける。

レシピ2 ソーセージと野菜の蒸し焼き

【材料】・ソーセージ…4本 ・モヤシ…1/4袋 ・パプリカ…1/2個 ・アスパラ…2本

・エリンギ…1本 ・ミニトマト…4個 ・クレイジーソルト…少々 ・オリーブオイル…少々

【作り方】①スキレット(小)に少量のオリーブオイルをひき、モヤシ、エリンギ、ソーセージ、パプリカ、アスパラ、ミニトマトの順で彩りよくのせる。
② クレイジーソルト少々をかけ、ふたをして弱火で4分程度蒸し焼きにする。

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